勉強会に来てくれていた長崎県立大学の1・2年生が、自分たちだけでAI制作物の発表会を開きました。企画・進行・審査まで学生主導。
7月24日、AI勉強会にも参加してくれている長崎県立大学の1・2年生が、自主企画でClaude Codeでの制作物の発表会を開きました。お題は「AIを使って何かつくる、なんでもOK」。ニュースの自動配信、勤怠管理、動画共有、海外ECのブランド運営、パーティーゲームと、5人が全員別のジャンルで持ち寄っています。審査も学生2名が担当し、各20点で採点。プログラミング未経験の学生も多い中、1か月ぐらいでここまで作ってきているので、大人チームも負けじと日々実装していきたいところです。
記録を読んで、事業者側でもそのまま使える考え方だと思った点を4つ挙げます。
動画をLINEで1本ずつ送るのが面倒、紙の口頭申告で勤怠のログが残らない、ニュースアプリに大事な話が流れてこない——出発点はどれも本人か周りが実際に困っていたことでした。機能から入っていない点が共通しています。
動画共有サービスは、無料枠(ストレージ10GB)を超えたら課金が発生してしまうため、4日後の自動削除・使用量のゲージ表示・9GBで自動ストップの3つを自分で実装していました。作って動いた、で止まらず、無料のまま続く形にしてあります。
ニュース配信は、AIに要約させるだけでなく、集めた記事の重要度をAIに採点させて上位10件を選ばせています。興味や閲覧履歴を参照しないので偏らない、という設計。AIの使いどころを判断側に置いた例です。
勤怠管理システムは、プログラミング未経験の1年生がインターン先の実務向けに作ったものです。二重打刻の防止、管理者が修正しても変更前が消えない履歴、一般ユーザーは自分のデータだけ見える権限分けまで入っています。
NHK・BBC・Guardian・AI系メディアから記事を集め、事件・事故・芸能・スポーツを除いたうえで、AIが重要度を100点で採点して上位10件を選抜。要約と用語解説、「なぜ重要か」を付けてLINEへ配信します。横スワイプのカード形式にしたのは、縦に長い文章だと読まないからとのこと。GitHub上で動くのでPCの電源は不要、API呼び出しは1日2回に抑えて無料の範囲に収めています。(2年生)
プログラミング未経験から、「打刻機能がほしい」「権限を分けたい」を日本語で伝えるところから開発。「まずAIが質問して、自分が答える形で深掘りして」と指示し、対話しながら仕様を固めて、動かして直す、を繰り返したそうです。連打しても二重にならない打刻、管理者の修正前が残る変更履歴、Excel出力での月次報告書まで。当日のデモはパスワードを忘れてログインできず、会場が少し和みました。(1年生)
サークルの広報でリール動画を作る際、「LINEの通常送信だと圧縮で画質が落ちるのでファイルで送ってほしい」という声が出発点。ただしファイル送信は1本ずつしか送れず、テイク数が多いと手作業が増える。そこで複数動画をまとめてアップして1つのURLで共有し、受け取り側は一括保存ボタンで全部保存できるサービスを作っています。無料枠を超えない仕掛け(4日で自動削除・容量ゲージ・9GBで自動ストップ)が組み込まれていて、メンバー5人中4人が実際に使用中。(2年生)
「営利のサービスなら『10GB超えたら課金』に誘導するところを、自分たちで作っているから超えないように止められる。」(審査コメントより要旨)
サービスを作るのではなく「AIを使って利益を出す」に振り切った1本。海外ECのEtsyで、和菓子モチーフのデジタルステッカーを販売しています。トレンド調査から差別化のアイデア出し、デザイン生成、商品説明・検索タグ・多言語対応、SNS発信まで全工程にAIを使い、初期コストはショップ開設の約3,000円。審査では「なぜそのトレンドが来ているのか」の分析を詰めると強くなる、という指摘も出ていました。(2年生)
爆弾を持ったまま爆発した人が負けというルールのクイズゲーム。1人10秒制限、回答者はランダム指名、正解すれば爆弾は次の人へ。問題は約5万問(91ジャンル・難易度3段階)、最大12人まで、PCの大画面でもスマホを囲む形でも遊べます。その場で実演して会場が一番沸いた一本でした。一方で「難易度が高すぎる」「得点がランダムなので正解数と連動させたほうがゲーム性が増す」といった指摘も出ています。(2年生・この発表会の主催者)
「昨日の夜、AIを走らせたまま寝て、朝起きたら今この状態。」(直前まで問題を調整していた話)
運営の形も参考になったので、記録しておきます。
5本の発表後に合計点で順位を出しています。指摘の内容が「難易度の設定」「得点とゲーム性の連動」「なぜ作ったのかを最初に説明したほうが機能への納得感が出る」「トレンドの分析が浅い」など、作り手目線に踏み込んだものになっていて、褒めて終わる会にはなっていません。次回はテスト期間と重なるため時期は未定で、1年生も巻き込んで規模を大きくしたいとのことでした。
このエリアの学生や事業者が、当たり前のように使いこなしている。そんな状態になると良いなと思っています。学生側の自主企画はこの先も続くようなので、こちらのサイトでも記録が届いたら共有していきます。8月には、こちらの学生運営チームと一緒に地域課題をテーマにしたイベントを準備中です。最新のイベント情報はXをご参照ください。
学生がまとめた当日の記録を読む →この回は勉強会の主催イベントではなく、学生の自主企画です。本レポートは学生がまとめた当日の記録をもとに再構成したもので、発表者の実名は伏せています。数値・引用は当日の発表に基づく概数・要旨です。