後半はワークショップです。グループに分かれ、「初心者向けのまず初期設定」のグループには、Claude Codeのインストールやフォルダの決め方から、「自社専用のAIの土台」(フォルダを自社のOSに見立てて整える設計図)の作り方の解説を。「もう使っているので発想を広げたい」というグループは、自社の事例の紹介や「自分の仕事で、AIに何をお願いしたいか」をその場で一人ひとり言葉にして、実際に試してみる時間もつくりました。
街の事業者が「自分の商売 × AI」の事例を持ち寄りました。
7月7日夜、佐世保でClaude Codeの交流会を開催しました。当日の参加は36名。印刷、福祉、農業、医療、酒販、広告、映像制作……と、業種はばらばらで、しかもその多くが経営者自身。都市部のイベントだと、エンジニアやスタートアップが集まり、新規SaaSに向き合うイメージを持っていましたが、この街では少し違っていました。みなさん、自分がやっている商売をベースに、エージェントAIの力をどう組み込むか——そんな順番で考えている印象でした。
私自身が「これは都市部のイベントとは違うな」と感じた点を、4つ書きます。
印刷・福祉・農業・医療・酒販・広告・映像制作・設備・刺繍プリント・食品……。ITの人が集まる会ではなく、「街の生業」そのものが集まった会でした。だからAIの使い道も、ひとつずつ具体的で、個性があり、見ていて飽きませんでした。
参加者の半数(18 / 36)が経営者です。部下に検討させるのではなく、社長自ら手を動かし、自社にスピーディーに実装していく。
新しいネットサービスを立ち上げる、という話はほとんど出ませんでした。業務効率化が主ですが、次に多かったのが、すでに手元にあるアナログでローカルな商材にAIのエンジニアリングを掛け合わせる発想です。「デジタルだけで完結する商売はAIにすぐコピーされる。でもローカルな資産とAIをかけ合わせると真似されにくい」。そんな話も出ていました。
たとえば、AIエージェントの「人格」を、推しのキャバクラ嬢のLINEを参考にカスタムする——。結果、長い文章も読みやすく、コーチングの様に褒めてくれるので、モチベーションも上がると言った知見のシェアがありました。生活に紐づいたユニークなたくましさと知恵を感じる発想です。
神社の写真から御朱印のデザインを30秒〜1分で自動生成するツールの実演がありました。白黒・シンプル・豪華の3案から選び、文字の大きさや縁取り、背景の濃さまで一画面で調整できます。筆文字のデータ化や金箔押しのオプション受注まで繋がっていて、すでにサービスとして動き、しっかりと売上も立っているそうです。ほかにも面付けや見積、価格改定の資料づくりを自動化して、営業ごとにバラバラだった金額の出し方を統一した、という話もありました。
「システム会社に頼めば数百万することも。でも彼らは業務のプロじゃないから、細かいところに手が届かない。Claude Codeなら自分で作れます。」
ホームページはClaude Codeを使い始めて1〜2日で(デザイン事務所に頼めば数十万コース)、スマホで見られる事業計画書は「遊ぶようなUIを意識」して。オリジナルのコンドームケースのような尖った商材まで、撮影・キャッチコピー・ホームページ込みで1日で作って即リリースしていました。
「カメラマンを入れて作れば、初期投資に数十万〜100万。それがほぼゼロです。売れたらラッキー、売れなくても痛くない。だから、どんどん冒険できるんです。」
職員200名規模の社会福祉法人のトップ。組織に入れるにあたって、要配慮個人情報や個人情報保護法28条(海外サーバーの扱い)を意識し先回り。プロンプトインジェクションによる、.envを勝手に書き出させる手口——にも警鐘を鳴らしていました。また、福祉ひとすじの経営者が、こともなげに「ハーネス」「評価者ループ」を口にする光景は、インパクト大。攻めの直感派と、守りの設計派、経営者ごとに個性がはっきりと出ていて、とても見応えがありました。
「社内情報を一切触らせない『もう一台のミニPC』を24時間回し、〈スペシャリスト+ハーネス〉の構成で開発を自走させ、プランナー→成果物→評価者のループを3周させて品質を担保しています。」
(ほぼ本人談そのまま)
「細かく指示しすぎると、かえってAIの力を抑えてしまう。ゴールをはっきり伝えるほうがいい」。最新のモデルではマイクロマネジメントは要らなくなってきている——公式(Anthropic)の方針とも重なる実感が、現場の言葉で語られていました。
後半はワークショップです。グループに分かれ、「初心者向けのまず初期設定」のグループには、Claude Codeのインストールやフォルダの決め方から、「自社専用のAIの土台」(フォルダを自社のOSに見立てて整える設計図)の作り方の解説を。「もう使っているので発想を広げたい」というグループは、自社の事例の紹介や「自分の仕事で、AIに何をお願いしたいか」をその場で一人ひとり言葉にして、実際に試してみる時間もつくりました。
並べてみると、地域経済の断面のような多様さで興味深いです。
当日の登壇スライド「地方から逆転する、AIエージェントの夜明け」(全10枚)。会の「なぜ」が、この一本に詰まっています。















会の終わりに、参加者同士で相談したり知見を共有できるコミュニティサイトを作るという話になり、その場で連絡先を交換。8月のハッカソンに向けて、コミュニティを温めていければと思います。「持ち帰って、デモを参考に自社で仕組みにしたい」「早速Claude Codeを使ってみたくなった、楽しかった」という感想をいただきました。
地方には地方の、都市とは違う実装の熱を感じます。街の中小企業が、AIを使うことで、先端のエンジニアリングに近づける時代がリアリティーを持って感じられるイベントになりました。
本レポートは当日の記録をもとに、主催者が再構成したものです。個別の際どいエピソードは実名を伏せ、発想と内容を優先しています。数値・引用は当日の発言に基づく概数・要旨です。